「足を組む」という簡単にチェックできる所見(Crossed legs sign)から,重症脳卒中患者の,発症1年後の予後を予測できるというコロンブスの卵のような話.ドイツの神経ICUからの報告.
方法は前向き観察試験で非ランダム化.対象は重症脳卒中(脳梗塞+脳出血)患者で,重症の定義は,高度の意識障害や人工呼吸器や循環補助を要する換気障害・循環障害を呈するか,脳室ドレナージや高度の神経機能モニタリングを要する症例.Crossed legs signを認める患者と,年齢・意識レベル・NIHSS重症度をマッチさせたcrossed legs signを認めない患者に対し,Glasgow coma scale,NIHSS,修正Rankinスケール,Barthel indexを,入院時,足組み時,退院時,退院後1年において比較するというもの.
Crossed legs signは120名の重症脳卒中患者のうち34名(28.3%)で認めた.発症から平均10.5日目に足組みが出現した.足組みを認めた34名と認めない34名を比較すると,退院時のGlasgow coma scaleには差を認めなかったものの,退院時のNIHSSは足組み群で良好(6.5 vs 10.6; p = 0.0026),修正Rankinスケールも足組み群で良好(3.4 vs 5.1, p < 0.001),さらにBarthel indexも良好であった(34.0 vs 21.1; p = 0.0073).1年後でも修正Rankinスケール(2.9 vs 5.1, p < 0.001),Barthel index(71.3 vs 49.2; p = 0.045)とも足組み群で良好であった.さらに死亡率でも,足組み群では1名のみ死亡したのに対し,足組みを認めない群では18名の死亡を認め,明確な差を認めた(8.8% vs 52.9%; p< 0.001).
脳卒中患者の予後予測の方法として,脳梗塞サイズや麻痺の程度などの報告があるが,crossed legs signは医師以外でも簡単に行え,さらに他の追加検査も要さない点,費用がかからない点で優れている.重症患者において発症15日以内にcrossed legs signを認めた症例は,重症度,ADL,死亡率のいずれの面でも予後が良好である.少数例の検討ではあるが,簡単に調べられることなので,今後,多数例で検証が行われるものと思われる.
Neurology 77; 1453-1456, 2011![]()
http://www.neurology.org/content/77/15/1453.abstract
方法は前向き観察試験で非ランダム化.対象は重症脳卒中(脳梗塞+脳出血)患者で,重症の定義は,高度の意識障害や人工呼吸器や循環補助を要する換気障害・循環障害を呈するか,脳室ドレナージや高度の神経機能モニタリングを要する症例.Crossed legs signを認める患者と,年齢・意識レベル・NIHSS重症度をマッチさせたcrossed legs signを認めない患者に対し,Glasgow coma scale,NIHSS,修正Rankinスケール,Barthel indexを,入院時,足組み時,退院時,退院後1年において比較するというもの.
Crossed legs signは120名の重症脳卒中患者のうち34名(28.3%)で認めた.発症から平均10.5日目に足組みが出現した.足組みを認めた34名と認めない34名を比較すると,退院時のGlasgow coma scaleには差を認めなかったものの,退院時のNIHSSは足組み群で良好(6.5 vs 10.6; p = 0.0026),修正Rankinスケールも足組み群で良好(3.4 vs 5.1, p < 0.001),さらにBarthel indexも良好であった(34.0 vs 21.1; p = 0.0073).1年後でも修正Rankinスケール(2.9 vs 5.1, p < 0.001),Barthel index(71.3 vs 49.2; p = 0.045)とも足組み群で良好であった.さらに死亡率でも,足組み群では1名のみ死亡したのに対し,足組みを認めない群では18名の死亡を認め,明確な差を認めた(8.8% vs 52.9%; p< 0.001).
脳卒中患者の予後予測の方法として,脳梗塞サイズや麻痺の程度などの報告があるが,crossed legs signは医師以外でも簡単に行え,さらに他の追加検査も要さない点,費用がかからない点で優れている.重症患者において発症15日以内にcrossed legs signを認めた症例は,重症度,ADL,死亡率のいずれの面でも予後が良好である.少数例の検討ではあるが,簡単に調べられることなので,今後,多数例で検証が行われるものと思われる.
Neurology 77; 1453-1456, 2011

http://www.neurology.org/content/77/15/1453.abstract